便秘 ストレス

ストレス性便秘って何?

会社員の春菜さん(仮名)は、夏の初め「4日に1回しか便が出ないんです。。。」と来院されました。

 

4日に1回しか出なくても、本人が不快でなければ便秘ではありません。

 

でも、春菜さんは、「便が出ないためにお腹が張って痛くなるので、食事をするのも憂うつで。。。なんだかごはんも食べたくないんです。」と言います。

 

診察してみると、確かに、お腹が外から見てもわかるくらい張っています。

 

便秘と下痢を繰り返しており、しょっちゅうお腹が張って痛いとか。

 

「仕事が大変」という話もされていたので、職場や対人関係のストレスが強いのかもしれません。

 

便秘の人、便秘の人の中でも、お腹の痛みや張り、不快感が強い人は、ストレス性便秘、いわゆる「過敏性腸症候群」(IBS)である可能性が濃厚です。

 

こういうた症状の便秘を「けいれん性便秘」と呼ぶこともあります。

 

過敏性腸症候群は、検査をしても器質的な異常がないのに、腹痛やお腹の張り、不快感を伴う便通異常がある病気です。

 

過敏性腸症候群の人は、腸壁が緊張してけいれ(激しい収縮運動)を起こし、大腸の一部が狭くなっています。

 

以前は、内視鏡検査などで器質的な異常がみられ札なければ、「気のせいですよ」、「精神科へ行ってください」などと言われることもあったようですが、ストレスなどで自律神経がうまくいかなくなるし、胃腸に機能的な異常が起こる場合があることがわかってきました。

 

日本人のデータはありませんが、欧米の調査では、全人口の約5%の人が、過敏性腸症候群になっているといいます。
ストレス社会である日本でも、同じくらいの患者がいると考えられています。

 

過敏性腸症候群は、日頃の便の状態によって、便秘が多い「便秘型」、下痢が多い「下痢型」、春菜さんのように下痢と便秘を繰り返す「混合型」、分類ができない「分類不能型」に分けられます。

 

女性には便秘型や混合型が多く、男性には下痢型が多い傾向があります。

 

ここでは、便秘型、そして混合型の過敏性腸症候群をストレス性便秘と呼ぶことにします。

 

春菜さんの場合、大腸内視鏡検査を行いましたが、特にがんやほかの大腸疾患などは見つかりませんでした。

 

排便造影検査も行いましたが、直腸痛などもありません。
やはり、ストレス性便秘だということで、薬による治療を始めました。

 

もう一人、30代の会社員である寛子さん(仮名)は、高校生のときから慢性的な便秘に悩んでいました。

 

寛子さんは、職場や外出先のトイレが苦手です。

 

「自分でもなぜだかわからないのですが、どうしても、自宅でないと排便ができないんです。
お腹が痛くなってトイレに駆け込み、職場でもトイレに座ってみるのですが、全然出なくて・・・特に、外のトイレで嫌な思いをしたしか、そんな心当たりもないのですがね。。。」

 

便秘が先なのか、外のトイレ恐怖症が先なのか、いまとなってはわかりませんが、常にお腹がゴロゴロし、便意を感じてトイレに行っても出ないという状態を繰り返していました。

 

寛子さんの場合も、大腸内視鏡検査では異常なし。

 

長年、便秘に苦しみいきんでいたためか直腸癖もあったのですが、ストレス性便秘の症状が強いので、こちらの治療から始めることにしました。

 

寛子さんのように、スーパー便秘とストレス性便秘を併発しでいる人も少なくありません。

 

「お腹が張ってゴロゴロ鳴り、便秘が続いている」、「会社へ行く途中で、お腹がキリキリ痛み、何度もトイレに駆け込む」、「お腹がしくしく痛み、便意を感じて、しょっちゅうトイレに行くけれども、なかなか便が出ない」

 

こんな症状があって便秘、あるいは便秘や下痢を繰り返している人は、ストレス性便秘かもしれません。

 

「仕事でプレゼンテーションきする前になるし、お腹がキリキリ痛んで・・・」、こんなふうに、ストレスの要因がはっきりしている人もいますが、必ずしも、原因が何かを特定できるわけではありません。

 

寛子さんの場合も、「別に、仕事が嫌だとか、対人関係に問題があるとか、心当たりはありません」ということです。

 

ストレスが原因ならそれを取り除けばいいのではないかと考える方もいるかもしれませんが、問題はそれほど簡単ではありません。

 

もしかしたら、寛子さんのようなケースは、便秘自体がストレスになっている可能性も考えられますね。

腸は第二の脳!

なぜ、ストレスが強いと、お腹が痛くなったり、便通にまで異常が出るのか、不思議に思われる方もいるかもしれません。

 

実は、脳と腸とは、「脳腸相関」とも呼ばれる密接な関係にあう、自律神経のネットワークでつながっています。

 

脳と胃腸には、人の発生過程(受精卵から細胞分裂を繰り返す過程)で、同じ「神経管」から生まれ大同じ種類の細胞が、ほぼ同じ数だけ敷き詰められています。

 

胃腸は、生きていくために大事な栄養素を消化吸収し、老廃物を処理するという大事な役割を担いつつ、臼幸伸径の動きを敏感に感じ取る『考える臓器』なのです。

 

脳と腸の神経構造は以ていて、自律神経の影響を敏感に受けることから、揚は「第二の脳」とも呼ばれます。

 

「第二の脳」(セカンド・ブレイン)という言葉を世界に広めたのは、アメリカの神経生理学者、マイケル・D・ガーション博士です。

 

ガーション博士は、神経伝達物質の「セロトニン」が、腸にもあることを発見しました。

 

しかも、体内のセロトニンの劣%が腸で作られているというのです。

 

それまでは、セロトニンは脳内にしか存在しない物質だし考えられていたので、この発見は、世界中の科学者や医師たちを驚かせました。

 

セロトニンは、精神状態や身体のリズムに大きく関わる大事な神経伝達物質です。

 

これが不足すると、うつ病になったり、不眠症になったりします。

 

ストレス性便秘も、セロトニンと大きく関わっています。

ストレス性便秘を改善するには

「お腹が張るので食べたくない」、「お腹が痛くなったりトイレに駆け込んだりしているために、仕事がうまくいかない」、「外出したくない」、「旅行に行けない」k「何をやっても楽しくない」・・・

 

ストレス性便秘の人の多くは、生活にまで支障が出ています。

 

なかには、仕事を続けるのもつらくなって、会社を辞めてしまう人もいるくらいです。

 

確かに、ストレス性便秘の治療には時間がかかりますが、専門的な医療機関で治療を受けることで多くの人は改善します。

 

「体質だから」とあきらめずに、治療を受けて欲しいと思います。

 

自律神経を整え、便秘を解消するためには、まずは生活習慣を見直すことが大切です。

 

不規則な生活は自律神経のバランスを崩す原因になります。

 

当たり前のことですが、早寝早起き、3食をだいたい決まった時間にきちんと食べるといった規則正しい生活をしてみてください。

 

休日も、寝だめをしようと思わず、できるだけ平日と同じ時間に起きて、夜ふかしをしないようにしましよう。

 

日常生活の中で、ウオーキング、ラジオ体操、ランニングなど、汗ばむ程度の運動をすることも重要です。

 

汗をかくだけで、自律神経がリセットされ、バランスの悪い状態が改善されます。

 

胸から下だけ少しぬるめの湯に、ゆっくりつかる半身浴ももお勧めです。

 

腹部を温めると、リラックスするだけではなく、お腹の痛みや張りの改善にもつながります。

 

 

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